
世田谷美術館で開催中の『ブルーノ・ムナーリ -役に立たない機会をつくった男』に
行って参りました。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp
イタリアの美術家・デザイナー、ブルーノ・ムナーリ。
美術家、というと高尚なイメージもあるかもしれませんが、グラフィックデザインやプロダクトデザインを手がけ、
絵本作家としても知られている多彩なアーティスト。「高尚」とは全く正反対の人物だったようです。
今回の本題からは若干ずれますが、
このフライヤー。個人的にはお気に入りです。
まず、イタリア人ブルーノ・ムナーリのイタリアンカラー(国旗配色)。
そして代表作がプリントしてあります。
少し褪せた色合いがより一層イタリアンな雰囲気を醸し出しています。

まず、展覧会名の「役に立たない機械」というのが気になりませんか?
これは彼のつくった作品です。
色をつけた様々な形の木片をつなげて天井から吊り下げている作品。
ゆらゆらと揺れはするけれども何も作り出さない、何の役にも立たない。
意味のないところに意義がある。。。惹かれます(笑)。
絵本作家としての活動の理由もシンプルです。
5歳になる息子に絵本を買おうと思ったが良いものがないので、それなら自分で作ってしまおう、と。
そんな彼が目指した絵本は
文字で書かれたストーリーを補うための挿絵的な「絵」ではなく、
視覚や触覚等によってストーリーを掴める絵本。
めくったり、穴があいていたり、ボタンがついていたり、楽しいしくみのある絵本です。
今はそういう絵本もよく見かけますが、当時はとても新しかったのではないでしょうか。

さて、こちらは代表的な「陰と陽」シリーズです。(画像はポストカードです)
このシリーズは、シンプルな図形と色を用いた構成で、
見方によって色が前に出たり後ろに入ったりするように見えることを意図して作られているそうです。
このシンプルな色彩、を見てみると
どちらとも色相環では反対の位置にある黄赤と青、赤と緑、です。
対照的な色を配して効果を高めようとしているのかもしれません。
他の作品も、シンプルで色の差のはっきりした配色になっていました。
私たちに「どう感じる?」と語りかけているような。。
この展覧会では様々な作品を観ることができますが、
芸術は一部の人たちのものではなく、
誰もが楽しめる身近なものであることをブルーノ・ムナーリは伝えたかったようです。
その工夫が展示の中でも見られました。
晩年は子どもためのワークショップに力を注いだそうですが、
ムナーリの創ったカード等で遊べるコーナーもあり、
子どもから大人まで楽しめると思います。
もし可能な方は
冬休み期間中に訪れてみてもよいかもしれませんね。